パシフィコ横浜が旅行業参入、MICE誘致へツアーで差別化

2020.03.23 00:00

第1弾ツアーの目玉の1つが江之浦測候所での能楽囃子鑑賞。海を望む石舞台は壮大なスケール

 国内最大級の複合会議施設を備えた横浜国際平和会議場(パシフィコ横浜)は第2種旅行業登録を行い、MICE関連ツアーの企画・実施を始めた。MICEの誘致をめぐっては、アジア諸国の台頭が目覚ましく、競争が激化している。参加者を対象にしたツアーや同伴者向けプログラムに魅力を持たせて、競争を有利に進める狙い。

 MICEに付随した提案などを行う営業開発課が中心となり、ツアーやテクニカルビジット、チームビルディングの企画やユニークベニューの開発・手配を手掛ける。国際会議の前後に組まれるツアーなどは、「主催者に会議を提案する段階からの重要な要素」(同社総務部)といい、差別化が図れれば開催地決定へ大きな効果が見込める。神奈川県と緊密に連携するほか、独自のネットワークを活用し、特別感のある場所をツアーに組み込むなど、地域ならではの魅力の発信を強化する。

 第1弾として、2月21日には第1回横浜グローバルMICEフォーラムの参加者を対象に小田原・箱根への日帰りツアーを実施した。小田原市観光協会などの協力を得て、江之浦測候所での能楽囃子鑑賞や国の有形登録文化財に指定されているだるま料理店での芸者体験ランチ、岡田美術館での日本美術鑑賞、忍者体験を盛り込み、23人が参加した。参加者はMICEの企画者らで、今後のアフターMICEのスポットとして提案した。

 同社は「会議場に集客するだけでなく、地域に送客もして、win-winの関係を構築したいという思いがある」と語る。県内での回遊性を高めることで地域経済に貢献したい考え。また、「会議場だけでは売るものに限界がある」とも見ており、新たな収入源としての期待を寄せている。

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