『日経トレンディ2019年12月号』 旅行の近未来と顧客増の鍵

2019.12.23 00:00

日経BP刊/682円+税

 本年ラストの回は、おなじみの日経トレンディ「20年ヒット予測+19年ヒット商品」にいたしましょう。

 19年ヒット商品番付は、1位ワークマン、2位タピオカ、3位PayPayと納得の並び。旅行関係では「地方発ヒット」に、炭鉱跡地で爆破や銃撃を体験・撮影できる「筑豊アクションプロジェクト」などユニークな企画が並んでいて面白い。ふるさと納税、インバウンドの増加などに刺激され、地方都市で「企画で勝負!」という気運が高まっているのかも。来年も楽しみだ。

 では20年のヒット予測。なんといってもオリンピックイヤーであるからして、1位は「どこでも東京五輪&応援村」。パブリックビューイングや関連企画が盛り上がりそう、というお話だ。旅行関連で注目されているのは、28位「ウラジオストク線」。日本から一番近いヨーロッパとして人気が高まっているうえ、ウラジオストク以外のロシアへのビザ発給要件も徐々に緩和されている。ここを皮切りに、ロシア方面への旅が一段と盛り上がるかも。ほか、業界別ヒット予測の「旅行」では、JAL出資のLCC・ZIPAIR、ダムや橋を見に行くインフラツーリズムなどが登場。

 個人的に気になったのは「遠隔旅行」。ロボットを遠隔操作して仮想旅行する行為で、別のコーナーに登場した「分身ロボット」とも発想は似ている。後者は外出困難者が分身を操作して働く、というもので、この技術がさらに発達したら、いずれ分身ロボットがツアーに参加する未来も待っているのかもしれない。「番外」で登場している「脱プラ容器」にも注目。世界的なムーブメントで、バリ島などでもすでにレジ袋やストローは全面廃止。旅行会社も配布ツールや食事など、細かい点でこういった傾向に敏感であることが、ユーザーの印象に影響しそう。

山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。

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