「プロモーションの時代は終焉」オランダ政観が観光管理に軸足

2019.11.04 00:00

運河が美しいオランダ北部のヒンデローペン。新体制では、各地の特性をストーリー仕立てで訴求する

 世界各地で観光公害が問題となるなか、オランダ政府観光局(NBTC)は活動の軸足を観光地のプロモーションから管理に移す。アムステルダムの過剰なまでの混雑やゴミ問題が深刻化し、観光に対する住民の反発が強まっている。活動方針にレジデントファーストを掲げ、地方分散化を推進する。

 オランダへの国際観光客は最少でも30年に2900万人となり、17年の1800万人から1.6倍に拡大する見通し。すでにアムステルダムは居住不能な状況ともいわれ、昨年からステークホルダーを交えて今後の方針を議論してきた。NBTCは、観光局の役割として「単に多くの観光客を誘致するプロモーションの時代は終わった」と明言した。

 10月下旬に発表した23年までの主要な施策では、アムステルダム以外の地域の訴求や予算と組織の効率化を盛り込んだ。中川晴恵日本地区局長は、「観光客の抑制は現実的に難しい面があり、いかに分散するかが焦点となっている」と説明する。地域特性を踏まえたストーリーを伝え、個性あるエリアを開発する。ハンザ同盟都市や水と特別な関係がある場所をつなぐ「オランダウオーターランド」などが一例だ。

 一方、プロモーション強化のために組み入れた民間の出資比率を引き下げ、予算も削減する。旅行見本市はITBベルリンに絞り、海外支局は市場規模上位のドイツやベルギー、英国など5カ所を残し、スペイン、イタリア、日本は20年第1四半期に閉鎖する。日本での対外的な活動は年内で終えるが、中川局長は「日本の位置づけが低下したわけではなく、重視するパートナー企業もある」と強調する。

 地域の観光マネジメントのあり方が問われるなか、オランダは1つの指標になるかもしれない。

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