カスハラ防止へ官民の対策本格化 都が条例化へ基本方針 JR各社も
2024.06.03 00:00

顧客等からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)を防ごうと、対応が本格化している。東京都は全国初の条例化を目指して検討を重ね、このほど基本方針を公表した。事業者が顧客と対等の立場で相互に尊重し合う社会を目指す。
都は区市町村と連携して事業者への情報提供や助言を行い、罰則は設けずガイドラインで実効性を高める方針。事業者には、マニュアルの策定や相談窓口の整備などを求めていく。
観光関連事業者では、JR西日本がグループの基本方針を制定した。カスハラと判断される言動が認められた場合、従業員を守るために毅然とした対応を行い、必要に応じて商品・サービスの提供中止や法的措置等も含めて厳正に対応することを明記した。
JR東日本グループも同様に方針と対応姿勢を明確に示した。カスハラが行われた場合には顧客への対応はせず、さらに悪質と判断すれば警察等への相談のうえ、厳正に対処する。
航空業界では、客室乗務員に対する許可のない撮影等を迷惑行為として禁じることを明示しているほか、宿泊業界では宿泊を拒否できる法改正が行われた。一方、航空連合の22年調査によると、利用者などから著しい迷惑行為を受けたことがあると回答した職種別トップは旅行予約業務(59%)で、職種を問わずまん延している。
国政としても看過できない状況にあり、自民党は総合的な対策強化に向けた提言をまとめた。業種・職種やサービス内容によって正当なクレームとの境界線が異なるという指摘もあるが、特に被害者である労働者の視点で著しい迷惑行為の定義を明確にし、国民への周知と消費者教育の強化を図るべきだとしている。
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