不正防止へ懲戒規定や地区委廃止 JATA対策 有識者委「特効薬なく地道に継続を」

2024.04.08 00:00

会見したJATAの髙橋広行会長(中央)は「先頭に立ち旅行業界から不正事案を根絶する」と述べた

 JATA(日本旅行業協会)は会員旅行会社で相次いだ一連の不正事案に関し、再発防止策を公表した。企業倫理の専門家などで構成する有識者委員会の調査報告書を受け、コンプライアンス推進室を新設するほか、不正を行った場合の除名処分など懲戒規定の整備、地区の組織体制の見直しを行う。

 観光庁の要請で昨年、受託事業について全会員に総点検を実施したが、その後に新たな不正が発覚し、外部の目線を入れて再び点検を行っていた。国・自治体から業務を受託したことがあると報告した132社に再度調査を実施したところ、新たな不正は見つからなかったという。

 報告書は主な発生原因として、旅行業と異なる受託事業の契約に対する認識不足、過度の利益指向とコンプライアンス軽視の姿勢、不正を防止する業務管理体制の不備、JATA地区委員会のガバナンス不全の4点を挙げた。姿勢に関しては、旅行業がコロナ禍で大きな打撃を被った特殊事情を認めつつも、「厳しい経営環境を免罪符とすることは許されない」と断じた。

 JATAは再発防止へ受託事業の知識不足を補う研修を新設し、旅行業務取扱管理者研修にコンプライアンス科目を取り入れる。地区委は廃止し、県別組織を設ける場合は理事会の決議を前提とする。地区委はJATA支部の委員会の1つで、地域で営業する企業が加入でき、自治体と連携したプロモーションも行うが、運営規定やチェック体制がない。談合疑いを生じさせた原因と指摘されていた。

 ただ、報告書は「風土改革に即効性の特効薬など存在しない」と指摘。「業界の常識を変えていくまでには地道な活動を反復継続するほかない」と継続の重要性を強調した。

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