宿泊税、定率制求める動き活発化 沖縄2町が方針表明 経済同友会「3%以上で全国に」

2024.04.01 00:00

 観光振興を支える安定的な財源として期待される宿泊税を巡り、自治体の動きが急速に活発化している。北海道ニセコ町は11月から法定外目的税として新設することで総務省の同意を得た。導入は全国で10例目で、検討している自治体は40近くに上る。ただ、導入のあり方については、主流の定額制ではなく、定率制を目指す動きが高まってきた。

 沖縄県の北谷町は3月22日、26年4月から定率制で導入する方針を表明。これに続き、本部町も同様の方針を決めた。税率は、北谷町の検討委員会は1人1泊2%を提言しており、本部町では2~5%とする意見が出ている。

 実現に向けては課題がある。定率制は公平性を担保でき、税収の規模が定額制に比べて大きいなどの効果が見込める。県下の観光事業者らでつくる沖縄ツーリズム産業団体協議会も税率3%での導入を県に求めている。一方、県側は定額制の導入を目指してきた。2町では「総務省の同意を得るためには歩調を合わせる必要がある」と見て、今後、意見交換をしていく。

 北海道では、19年に道内で初めて宿泊税を導入した倶知安町が2%の定率制を採用している。隣接するニセコ町も当初は同じく定率を検討していた。だが、道が定額制案を提示したため、「2つの制度が併存することは事業者の負担が大きい」(ニセコ町)として、定額制に方針を転換した。

 そうしたなか、宿泊税を地方税法上の法定目的税としたうえで、定率での導入を提言したのが経済同友会だ。全国共通の基盤を整備して広く展開すべきとの考え。10%が主流という海外の例を踏まえ、3%以上が適切と指摘する。観光立国推進基本計画が改定される26年の制度化を求めた。

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