HIS、グローバル市場開拓に本腰 中期経営計画 26年に営業利益コロナ前超えへ

2023.12.25 00:00

 エイチ・アイ・エス(HIS)は3カ年の中期経営計画で、最終年度の26年10月期に売上高4300億円、営業利益180億円を目指す。旧会計基準に照らすと、コロナ禍前の19年10月期をそれぞれ17%・3%上回り、営業利益率は4.2%に達する。実現に向け、外国人を顧客ターゲットとするグローバル市場の開拓を柱の1つに据えた。

 HISが中計を公表するのは初めて。創業50周年の30年に向けた変革・挑戦の時期と位置付けた。23年10月期は海外旅行需要の回復と好調なホテル事業により、売上高が前期比76.4%増の2518億6600万円となり、販管費を抑え込んだ結果、営業損益が4期ぶりに13億9700万円の黒字に転換した(前期は479億3400万円の赤字)。海外ホテルなどで減損損失を計上し、最終損益は26億1800万円の赤字だったが、今期は3億円の黒字転換を予想する。

 ただ、日本人の海外旅行の回復の遅れを鑑み、回復の早い外国人にマーケットを広げる。世界58カ国113都市に162の拠点を持つが、日本人旅行者の受け入れ事業に大きく依存している。この構造を見直し、人材派遣など新規事業と合わせて利益の6割を生むモデルへ転換する。ハワイで運営するラウンジやトロリーなど、自社顧客向けの施設やサービスを国内外の他の旅行会社の顧客に提供することも検討する。

 生涯顧客の創造にも力を入れる。食事、買い物、通信など日常生活でHISグループのサービスを利用してもらい接点を増やす。自社発行のクレジットカード「スカイウォーカーカード」を進化させ、決済プラットフォームを構築してカード保有者を現在の10万人から60万人に拡大する。30年までに非旅行・旅行関連事業と旅行事業の利益割合を1対1とする計画だ。