観光庁、オーバーツーリズム対策案を提示 入域制限やインセンティブ付与
2023.10.09 00:00

旅行需要の急速な回復に伴い一部の地域・時間帯に観光客が集中し、住民生活に影響を及ぼすオーバーツーリズムが再燃している。未然に防止・抑止する施策を検討するため、関係省庁による対策会議は9月29日に第2回会議を開き、観光庁が対策案を類型化して示した。それぞれの観光地が実情に応じた対策を打てるようにする。
対策の柱は大きく3つ。このうちマナー違反行為の防止では、マナー啓発へピクトグラムによる周知や看板・デジタルサイネージ等の整備、違反行為には条例に基づく罰則などの対処を具体例に挙げた。
混雑の抑制・緩和では、受け入れ環境の増強策として車両の長大化やパークアンドライドの整備、入域料の導入、スマートごみ箱の設置促進などを示した。需要を適切に管理するため、国立公園などで導入されている特定エリアへの入域制限の導入も挙げた。需要の分散・平準化では、デジタル技術を活用して空いている観光ルートの提案や、インセンティブを付与して空いている時間帯・時期に誘導する観光商品造成などを示した。
オーバーツーリズムに頭を悩ませる自治体への聞き取りも行った。北海道美瑛町は私有地に立ち入る観光客へのマナー啓発に取り組んでいるが、なかなか解消されていない。神奈川県鎌倉市は「スラムダンク」に登場する江ノ電沿線の踏み切りの混雑に苦慮する。同市は鎌倉駅構内に住民を優先入場させる対策なども講じているが、ホームの混雑緩和には至らず、車両を増やすのも難しいという。いずれも対策に取り組んでいるが、この先をどうするかが共通の課題になっている。
会議はさらに検討を進め、この秋に具体的な対策を取りまとめる。
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