スキポールの発着枠制限に業界反発 夜間の空港閉鎖で環境対策 KLMは対案提示
2023.09.11 00:00

オランダ・スキポール空港は航空機騒音と二酸化炭素(CO2)の排出量削減に向け、夜間の空港閉鎖やプライベートジェットの乗り入れを禁止する計画を進めている。7本目となる新滑走路の建設中止も決めた。空港の発展を犠牲にしてでも環境対策を重視するとの考え方だが、政府や空港当局の強硬な姿勢に航空業界は強く反発している。
計画の見直しを求める裁判でKLMオランダ航空は一審では勝訴したが、控訴審で敗訴した。これを受けてIATA(国際航空運送協会)や欧州ビジネス航空協会(EBAA)はこのほど、「運航制限と減便は最後の手段で他の多くの措置が講じられた場合にのみ検討されるべき」などと抗議した。問題を巡る論議はまだ長引きそうだ。
欧州では騒音に加えて航空機からのCO2排出にも厳しい目が向けられ、近距離航空路線を縮小し、鉄道輸送に置き換えるなどの取り組みが進んでいる。コロナ禍もようやく落ち着き航空需要の回復が期待される一方、環境対策は避けて通れない課題となっている。
スキポール空港が遅くとも25年から26年までに実施する計画によれば、夜間の空港閉鎖では、深夜0時から早朝6時までの離陸と同5時までの着陸を禁止する。これにより夜間の飛行が年間1万便減少する。プライベートジェットと小型ビジネス機の乗り入れも禁止する。これらの機材は騒音に加え、CO2排出量が民間航空機より多いことが理由。特にプライベートジェットの主な飛行先である主要観光地へは、十分な定期航空サービスがあると指摘している。
KLMは対案として、低騒音機材の導入促進、低高度での飛行時間を減らすための発着経路の改善、夜間に最も低騒音の機材を配備するスケジュール調整などを提案している。
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