訪日市場の戻り、東京都が突出 米国けん引 東アジア中心の地方と差
2023.08.07 00:00
訪日外国人旅行者は月を追うごとに回復率が高まり、1~6月の上半期で1071万人を数え、コロナ禍前の19年同期の64.4%となった。しかし、その滞在先は首都圏など大都市に偏りがちで、地方との差が生じている。米国や欧州が先行して回復する半面、リピーターが多く地方に足を延ばしていた東アジアの戻りが遅れているためだ。特に東京都は回復率が顕著で、1~4月の外国人延べ宿泊数は19年同期を16%上回った。
観光庁の宿泊旅行統計を基に日本政府観光局(JNTO)がまとめた資料によると、4カ月間の外国人延べ宿泊者は東京都のほか、栃木県が14%増と2桁の伸びを示した。栃木は首都圏から近くアクセスが良好で世界遺産を擁する。米系高級ホテルが進出したことも追い風とみられる。一方、回復率が最も低かったのは鳥取県で、19年同期の21%しかまだ戻っていない。
コロナ禍前を超えた地域はまだそれほど多くない。5月単月でも6都県のみ。しかし、その中でも東京都は36.3%増と伸びが突出し、栃木県も19.9%増となった。
東京都の5月の宿泊者数を出身地別に見ると、米国が17.6%と最多で、次いで欧州が11.3%を占める。19年は中国が25%で最大だった。米国は訪日旅行市場の回復をけん引している市場の1つで、上半期の旅行者数はコロナ前を11.1%上回る。
JNTOは今年度、市場特性を踏まえたきめ細かなマーケティング戦略に取り組むなか、伸びしろが見込める米国は訪日旅行者数の増加を優先するという。特に訪日経験のある20~40代は地方訪問希望率が高いとし、商談会やセミナーなどを通じて地方への観光ルート開拓につなげる考えだ。
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