観光圏とDMO制度の融合を提言 日商、地域の合意形成に課題認識
2023.08.07 00:00
DMOを核とした観光地域づくりの実効性を高めるため、観光圏とDMO制度の発展的融合を――。日本商工会議所は7月20日、こんな提言を盛り込んだ「観光再生・復活に向けた意見・要望」を発表した。DMOの活動に関し、地域との合意形成が図られていないという課題認識が背景にある。DMOに観光圏のような法的根拠を持たせ、地域と一体となって活動できる環境整備を検討すべきだと主張した。
観光圏は、滞在型観光ができる観光エリアの整備を促す目的で、国が08年に観光圏整備法を制定。現在13が認定されている。その後、観光地域づくりに経営視点を取り入れるため、かじ取り役となるDMOの登録制度が15年にスタート。今年3月末時点で登録DMOは270件を数える。観光圏とDMO の主体が同じケースもあるなど、観光地域づくりの担い手はDMOに移った。
しかし、日商が各地の商工会議所にDMOの活動状況の評価を尋ねた調査では、地域との合意形成に関して「成果を上げている」と回答したのはわずか8.6%。成果が上がっていないと見る向きが28.4%を占め、さらには「分からない」が35.8%と多い。「DMOの存在は知っているが、何をやっているのか分からない、独自に活動しているといった声が商工業者から寄せられている」(日商地域振興部)
こうした課題を受け、観光圏制度の長所をDMOに取り込み、活動を向上させるべきというのが日商の考えだ。観光圏は自治体や観光・商工業者らでつくる法定協議会が事業計画を策定し、国が認定する。旅行業法や道路運送法等の特例など支援も充実している。一方、DMOには法的なよりどころがない。人材育成や財源確保への支援を行うべきとの考えも示した。
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