福島原発、募集型企画旅行受け入れ 廃炉作業の理解促す ホープツーリズムに広がり

2023.07.03 00:00

 東京電力は福島第1原発で一般向けの視察ツアーの受け入れを始める。これまでは福島県内の住民や地元自治体、政府関係者などに限って受け入れてきた。廃炉作業や周辺地域の復興状況への理解促進を狙い、対象を拡大する。

 福島県の「ホープツーリズム」の商標使用が認められた旅行会社が実施主体となり、準備が整い次第開始する。認定企業は現在28社だが、希望する旅行会社を対象に7月3日に説明会を開く。

 ホープツーリズムは、地震、津波、原発事故の複合災害を世界で唯一経験した福島の復興への動きを実際に見て学びにつなげる機会として、県が16年度から推進している。東日本大震災・原子力災害伝承館や震災の遺構である浪江町立請戸小学校などを組み込んだ視察・研修旅行がその中心。

 新たに募集型企画旅行で第1原発1号機などを高台から見られるようにする。ALPS処理水の希釈放出設備について東電スタッフから説明も受けられる。6月には5~6号機やALPS処理水の設備を視察できる新たな高台も整備した。

 ホープツーリズムは開始7年目となる22年度、福島県観光物産交流協会の受注型企画旅行のみで319件実施され、1万7806人が参加した。前年度の約2倍で、特にここ数年で急増している。その要因について、福島県観光交流課は「教員の口コミによる教育旅行の増加に加え、首都圏企業に対し、リスク管理研修に最適と売り込みをかけてきたことで視察旅行が増えている」と分析する。

 県は受け入れ体制を強化するため、5月に富岡町に活動の拠点となるサポートセンターを新設した。よりスムーズな運営を目指すほか、「浜通りを楽しい場所として発信していきたい」(同)としている。

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