東商、ツーリズムの基幹産業化へ重点要望 日本に危機感「もはやトップランナーではない」

2023.06.19 00:00

 東京商工会議所は、ツーリズム産業の基幹産業化に向けた日本の観光振興に関する重点要望書をとりまとめた。訪日外国人が急速に回復するなか、東京を核に国内外との双方向の交流促進とツーリズム産業の基幹産業化を図る狙い。

 25年の大阪・関西万博を好機と捉え、観光都市東京のさらなる国際競争力の強化、ツーリズム産業の持続的発展を促す支援の拡充、魅力的な地域資源を生かした国際文化都市東京の実現へ、官民が一致団結して取り組むべき施策を国に求めている。

 背景にあるのは、日本はもはやアジアのトップランナーではないという危機意識だ。バブル崩壊後の長きにわたるデフレと賃金停滞で、GDPの世界シェアや1人当たりのGDPランキングは大きく後退している。こうしたなか、国が新たに策定した観光立国推進基本計画により、訪日旅行消費額の早期回復と拡大に大きな期待を寄せる。

 万博が開催され、国際交流の本格回復が見込まれる25年までの2年間を、ツーリズムの再生と基幹産業化、東京の国際競争力強化に極めて重要な局面と捉える。起爆剤となる万博を関西圏だけの盛り上がりにとどめず、人の流れを関西から日本のゲートウェイである東京、そして全国へ広げ、東京を核に相互交流を促す施策などを訴えた。

 具体的には、自治体やDMO、観光関連事業者などと連携した観光資源のブランド化、広域周遊ルートの構築、万博ホームページなどを活用した広域周遊モデルコースの発信などを挙げた。

 要望を取りまとめた東商のトラベル&ツーリズム委員会(田川博己委員長=東商副会頭・JTB 相談役)は、名称を従来の観光委員会から変更した。ここにも裾野が広いツーリズムの基幹産業化を図る意図がある。

【あわせて読みたい】動きだす大阪 万博と観光復活へのロードマップ 関西以西の4DMOが一大連携 グレーターウエスト掲げ、西日本の周遊促進