ビジネス目的の訪日消費、2割増へ 政府アクションプラン 観光以外の需要開拓

2023.06.05 00:00

 政府は5月30日、観光以外の訪日外国人の来訪や消費を促す「新時代のインバウンド拡大アクションプラン」を策定した。25年までに、国際会議などビジネス目的で訪れる訪日客の消費額を19年の7200億円から2割増やし、8600億円に引き上げる。スポーツ目的の訪日客も呼び込み、同2割増の270万人を目指す。外客誘致の視野を観光から広げ、インバウンド需要をより効果的に根付かせたい考え。

 行動計画は観光立国推進基本計画の骨子に沿って施策を落とし込むのが常だったが、新たな目標を盛り込み、これまであまり力を入れてこなかった分野に踏み込みんだ。観光庁国際観光課の齊藤敬一郎課長は「訪日市場が回復の一途をたどるなか、これまでとは違う施策が必要」と話す。消費単価が高く、平日に観光地以外の場所を訪れるビジネス客は、3月に策定された新たな基本計画で重点を置く消費額拡大や地方誘客とも合致する。

 ビジネス、教育・研究、文化芸術・スポーツ・自然の3つの分野で、すでに各省庁が取り組みを進めるものも含め計78の施策を実施する。ビジネス目的では、見本市をグローバル化してビジネスでの交流を拡大したり、国際展開する企業が主催する会議の日本開催を促したりする。企業が所有し全国に点在するデザインやアートなどの資産をネットワーク化し、地方への送客や延泊につなげる。

 教育・研究分野では、海外の研究拠点を呼び込み、国際学会を積極的に開催・誘致する。スポーツに関しては、バーチャル空間など先端技術を活用したスポーツ環境の向上や、プロスポーツ団体のイベントを活用した観戦ツアー、日本発祥の武道に着目したスポーツツーリズムを推進する。

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