KNT-CTホールディングス、小山新社長「ぶれずに改革推進」　生き残りをかけ退路断つ覚悟

2023.04.03 00:00

　KNT-CT ホールディングスの代表取締役社長に小山佳延代表取締役専務が内定した。6月の株主総会を経て就任する。米田昭正社長が近鉄グループホールディングス代表取締役社長に内定したことに伴う人事。小山氏はコロナ禍で米田氏が進めてきた事業構造改革を引き継ぎ、改革の総仕上げと中長期的成長への基盤づくりに臨む。

　持ち株会社体制に移行して以来、KNT-CTの社長は近畿日本鉄道出身者が務めてきたが、近畿日本ツーリスト（KNT）生え抜きの就任は初めて。かねてから小山氏を後任と決めていたと語った米田氏は会見で、理由に事業構造改革へのぶれない姿勢を挙げた。

　小山氏は「これまでの延長線では長期的に生き残れないという危機感が根底にある」と語り、旅行業は専門性と収益性の高い分野に集中し、組織再編などによるコスト構造の見直し、新規事業の開発を進める意向を示した。

　課題の個人旅行では、高級宿予約サイトの名を冠したウェブ販売専門会社「近畿日本ツーリストブループラネット」を4月1日に立ち上げた。クラブツーリズムとKNTの融合もさらに進める。また、「今後の観光産業は地域視点で動いていく」と見て、地域共創事業を強化。クラツーで新たに体験プログラムなど着地コンテンツの開発に着手する。

　23年3月期第3四半期は営業利益85億円と中期計画の黒字化目標を達成した。だが「コロナ関連業務の受託でプラスになった側面もあり、23年度に真価が問われる」と気を引き締める。

　小山氏は幾度となく「退路を断つ」と口にした。「コロナ禍がもう一回来ても生き残れるように、旅行業の進化と新規分野の開発の両方に取り組む。そのためには何かを捨てることも必要だ」

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