ホームエージェント型代理業、アルパインツアーが実践 明確な意図と条件整備が活用の鍵

2023.03.06 00:00

2月21日の経営フォーラム分科会。ホームエージェントの可能性について立場の異なる各者が議論を交わした

 アルパインツアーサービスがホームエージェント型旅行業者代理業の活用に取り組んでいる。コロナ禍で事業や雇用の縮小を余儀なくされるなかで実践し、8人が登録する。芹澤健一代表取締役社長はJATA(日本旅行業協会)経営フォーラム分科会で、「事業を再び拡大するうえでいま最も適した方法」と語った。一方で、活用の意図が定まらなければ難しいとも指摘した。

 ホームエージェント型代理業は、JATAが旅行業OB人材の活用と新たな働き方の一手として普及に取り組んでいる。制度上は既存の旅行業者代理業者と同じだが、登録手続きや費用面で参入障壁が高いというイメージを払拭するため、独自の呼称を用いている。

 アルパインツアーは雇用関係をいったん解消したスタッフと代理業者契約を結んだ。代理業者は個人が自宅住所で登録でき、同社ではほとんどがこのケースという。顧客からの金銭収受は混乱を避けるため同社が行う。知的財産に関する契約条件の整備や、どの業務でどのスキルを活用するのか見定めることも重要だ。芹澤社長は「収益の分配が基本的な考え。会社側のコントロールする力が問われる」と指摘した。

 分科会にホールセーラーとして登壇したジャルパックの西尾忠男代表取締役会長は、コロナ禍で多くの店舗が姿を消し、「BtoBtoCモデルは今後なくなってしまうことが考え得る」と発言。オンラインが中心となればプロの助言を受けたい人の旅行が難しくなり、海外旅行は客層が限られていくと懸念する。「薄っぺらい業界にならないためにも代理業は重要な要素になるのでは」

 また、神奈川大学の島川崇教授は、「業界がもう一度復活するために所属旅行業者側の意識が重要ではないか」と指摘した。

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