今夏のクルーズ中止で関係者落胆 再開の壁高く 海事局「めど立たない」
2022.06.27 00:00

クルーズ関係者に落胆が広がっている。規制緩和を見越して販売していた日本発着の国際クルーズ再開のめどが立たず、中止に追い込まれたためだ。MSCクルーズは夏場の日本一周クルーズを取りやめ、ツアーを組んでいた旅行各社も催行中止を余儀なくされた。7月に済州島クルーズを設定していた商船三井客船も中止を決めた。
「海外・訪日旅行が規制緩和に向かうなか、クルーズだけが一歩も二歩も遅れている」。クルーズプラネットの小林敦代表取締役社長は焦燥感をあらわにする。同社は8月に予定していたMSCのチャーターをはじめ、9月分までクルーズツアーを催行中止とした。客はコロナ禍で繰り返されてきた振り替えに理解を示すリピーターが多いが、回を追うごとに応じる者は少なくなっているという。
阪急交通社はショップチャンネルと初の共同商品として手掛けたMSCの日本一周クルーズで販売数が目標の1000室に達していた。「かなり反響が良かっただけに非常に残念」(広報部)
国際クルーズには複雑な事情が絡み合う。外国籍船はカボタージュ抵触を避けるため海外に寄港する必要があるが、外国人クルーを含め入国者数制限があり、寄港先の韓国や台湾にも規制が残る。加えて、コロナ禍の初めに多くの船内感染者が出て負のイメージが付き、政府が再開に慎重な面もあるようだ。クルーズ関係者は再開に近づいたと見て今夏の販売に踏み切ったが、国土交通省海事局は現時点でも「全く見通しが立たない」としている。
外国船社は23年の日本発着クルーズを発表済みだ。クルーズプラネットの小林社長は「同じ状況が続いたら、日本が世界から見限られる可能性も十分にある」と懸念を示している。
【あわせて読みたい】日本発着クルーズ、再開見据え設定増 MSCに商船三井客船も セレブリティは全アジアで中止判断 訪日クルーズ寄港ゼロ続く 21年統計 国内運航は19.3%増 日本国際クルーズ協議会が発足 外国船や旅行会社加盟、事業再開へ一丸 国内クルーズ再開、まず短期から 「飛鳥II」11月開始
カテゴリ#海外旅行#新着記事
アクセスランキング
Ranking
-
函館山の混雑状況、AIで可視化 駅サイネージなどで配信
-
訪日客の地方滞在、まだ1.36泊 24年速報値 分散やや進展も
-
御嶽山麓エリア、DMOが観光防災アプリ 火山情報や避難所マップ搭載
-
20代女子の旅行意欲 消費けん引する黄金世代
-
主要7空港の11月利用実績、羽田が中国人旅客で唯一プラス
-
エミレーツ航空が自閉症者支援 ストレス軽減で海外旅行促進
-
宿泊施設関連協会の永山久徳理事が語る未来志向のおもてなし
-
注目のアルムナイ、JTBが組織化 社外とのつながり強化 多様な視点取り入れ
-
沖縄ツーリスト、債務超過を解消 24年12月期 純利益10億円
-
NutmegLabs Japan株式会社の求人募集要項