国内クルーズ再開、まず短期から 「飛鳥II」11月開始

2020.10.05 00:00

飛鳥IIは特に30周年記念のオープニングクルーズや年末年始の予約の入りが多いという

 新型コロナウイルスの感染拡大で停止していた日本国内のクルーズがようやく再開する。国土交通省が9月18日、短期的な措置をとりまとめたのに合わせ、日本外航客船協会(JOPA)が日本船社向けのガイドラインを公表した。船社は試運転を経て本格的な運航に乗り出すこととなり、郵船クルーズは10月に2回のトライアルを行ったうえで、11月から1~3泊のショートクルーズを開始する。

 国交省は感染症や危機管理の専門家を交えた有識者会議で、乗客や港湾関係者らの安全確保に向けた方策を検討してきた。このほど公表した中間とりまとめでは、再開への手順として、船社に試運転に加えてJOPAガイドラインに沿ったマニュアルの策定を求め、日本海事協会が適合状況を審査・認証する。港湾を管理する自治体はクルーズの受け入れに際し、衛生主管部局や寄港地の関係機関などの合意が前提となる。船内で感染者が確認された場合は次の寄港地で陸上隔離を行い、速やかに下船港に向かうこととした。

 JOPAのガイドラインでは、自室と飲食中を除くマスク着用、乗客同士の十分な距離の確保、感染者が確認された時点で船内イベントや施設の使用中止などを盛り込んだ。これを受け、郵船クルーズは21年1月までの飛鳥IIのクルーズで定員を半数程度に抑え、一部客室の販売を休止する対応策を取った。乗客には乗船前のPCR検査を義務付け、費用は代金に含めた。9月23日の発売から間もないが、リピーターを中心に好調に予約が入っているという。

 国交省は引き続き、日本発着など国際クルーズの指針づくりを進める。各国の入国規制に左右されるため一筋縄ではいかないが、20年度中の策定を目指す。