高級ホテル誘致、候補地出そろう 観光庁のマッチング事業 国立公園や離島
2022.02.28 00:00

観光庁が富裕層など高単価客の受け入れ環境整備に向けて取り組む「上質な宿泊施設の開発促進事業」の支援対象が出そろった。ラグジュアリーホテルの誘致に意欲的な自治体・DMOと運営会社などをマッチングする事業で、昨夏から段階的に募集と選定を重ね、北海道鹿追町から広島県廿日市市まで計10の自治体・DMOに決定した。開発候補地は国立公園内など風光明媚な場所が目立ち、離島なども含まれる。1つの地域で複数のホテルを一体的に誘致するケースもある。
複数の開発候補地を持つのが、和歌山県那智勝浦町や長野県山ノ内町だ。那智勝浦町は浦神湾を挟んで向かい合う2カ所、山之内町は発哺温泉や旧志賀高原ホテル跡地など志賀高原で計4カ所の開発を計画している。
同一県内で2自治体が選ばれたのは、新潟県(十日町・佐渡市)と広島県(尾道市・廿日市市)。尾道市は瀬戸内しまなみ海道沿いの生口島に誘致する。官民一体で地域活性化に取り組むなか、アマン創業者のエイドリアン・ゼッカ氏が手掛ける旅館「Azumi Setoda」が昨年開業し、機運が高まる。25年の大阪・関西万博と瀬戸内国際芸術祭も視野に入れ、長期滞在の拠点にしたい考えで、複数社とすでに面談中で、視察に至ったケースもあるという。
開発をソフトランディングさせるため、観光庁は自治体が開発候補地を所有または所有者と調整を行っていることなどを採択の要件とした。助言や現地視察の支援を行うが、補助金は交付せず、個別取引には関与しない。観光庁の和田浩一長官は、「地方で上質な宿泊施設が整備されていくことが重要。すでに一部では面談や現地視察が行われており、議論がさらに進んでいけば」と期待を示した。
【あわせて読みたい】高級ホテル誘致、熊野が開発候補地 観光庁のマッチング事業 2020年12月14日号>富裕層誘致を考える 地域の発展につなげられるか アマン創業者のエイドリアン・ゼッカ氏、旅館で日本市場参入 「再定義に挑戦」
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