観光業の人手不足、深刻化へ懸念 JATA髙橋会長「一番の問題」 OTAはデジタルで代替
2022.01.24 00:00
旅行・観光業界で働き手が不足し、今後の事業展開に支障を来すことへの懸念が高まっている。コロナ禍で旅行需要が激減し、企業は経営維持のために人員削減や新規採用の抑制を行ってきた。自ら業界を去る者もいるなか、昨秋に人流抑制策が緩和され、限られた人員で運営を余儀なくされている。感染力の強いオミクロン株の流行により、濃厚接触者の隔離による人手不足という新たな懸念も生じている。
「一番の問題は人材。必要な人材を確保できるのか、どう人材を回復させるのかを考えていかないと」。JATA(日本旅行業協会)の髙橋広行会長(JTB取締役会長)は1月12日の記者会見で認識を示した。昨年10月に緊急事態宣言が全国的に解除されると、飲食業や宿泊業で人手不足感が急上昇。帝国データバンクの調査では、旅館・ホテルの人手不足割合が前月から22.3ポイントも上昇した。
海外旅行再開への備えも求められる。「現地ガイドやオペレーションスタッフが職をいったん離れており、これをいかに確保していくか。雇用調整助成金の特例措置が3月で終われば、解雇しないといけない会社も出てくる」(原優二副会長=風の旅行社代表取締役)
人手不足はリアルの旅行会社に限らない。エクスペディアホールディングスのマイケル・ダイクス代表取締役も、「課題は働き手」と語る。「多くの人材が業界から流出し、当社も人材不足に陥っている」。対策として講じているのがテクノロジーでの補完。コールセンターはチャットボットに置き換え、値付けはデータに基づき予測できるツールを活用する。
DXは今後の大きなテーマだ。もっともデジタルで代替できない部分はあり、大きな課題を残している。
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