観光産業のカスハラ、コロナ禍で増加 交運労協調査 会社の対応には嘆き
2022.01.10 00:00

交通・運輸・観光産業の現場で深刻なカスタマーハラスメント(カスハラ)がコロナ禍で増加しているようだ。全日本交通運輸産業労働組合協議会(交運労協)が行った実態調査で、回答者の46.6%が迷惑行為・悪質クレームなどカスハラ被害の経験があり、57.1%が直近2年で増加していると感じていることがわかった。長時間にわたる暴言などが特徴で、現場は「お客さまは神さま」という誤った考え方の改善に期待を寄せる一方、何もしてくれない会社への嘆きも聞かれた。
交運労協が5~8月に実施した調査で所属組合員2万908人から回答を得た。これによると、直近2年以内でカスハラ被害の経験があったのはタクシー、バス、鉄道で多かった。増加の実感が高かったのは、航空(69.1%)、バス(63.8%)、トラック(56.5%)、鉄道(54.4%)で、5割を超えている。
最も印象に残っているカスハラ行為では暴言、同じ内容を繰り返すクレーム、威嚇・脅迫の順。観光業では金品の要求、航空では客室乗務員に対する盗撮なども挙げられた。コロナ禍の影響で、消毒スプレーをかけられたり、マスク着用依頼などをめぐるトラブル、家族や本人の病院の受診・検査拒否なども少なくなかった。
迷惑行為に対しては、毅然と対応(26.4%)、謝り続けた(23.7%)、上司に引き継いだ(22.4%)が上位。いずれにせよ現場では苦痛や腹立たしい思いを強いられるが、企業としての対策は「特になされていない」が39.5%を占めトップで、個人の負担の大きさが浮き彫りに。厚生労働省は20年6月施行の指針で事業主に対し、従業員からの相談に応じ、適切な対応に必要な体制の整備などを求めているが、取り組みはまだ不十分なようだ。
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