空港ビル会社、過半数が赤字転落 売上高6割減 TSR調査
2021.11.29 00:00
![](https://www.tjnet.co.jp/wp-content/uploads/2021/11/1206_P05-01.jpg)
全国の空港ビル会社46社の21年3月期決算で、売上高の合計は前期比62.6%減の864億1637万円となり、46社中45社が減収に追い込まれた。コロナ禍の直撃で乗降客数が大幅に減少したことが主な要因。全国で唯一増収となった壱岐空港ターミナルビルは、台風被害による保険金収入が増収要因という特殊事情による。
東京商工リサーチ(TSR)が実施した経営動向調査で明らかになった。46社のうち経常損益が判明した45社の合計額は201億1973万円の赤字だった(前期は96億1436万円の黒字)。45社中、過半数の24社が経常赤字。前期は3社にとどまっていたが、売上高の減少で固定費などを賄えない企業が続出した。
国土交通省によると、全空港の乗降客数は76.6%減の7246万人。渡航・入国制限でインバウンド需要が消失し、国内移動も自粛要請で激減した。TSRが今回調査した46空港の乗降客数の合計は72.9%減の4120万2000人で、すべての空港で前期を下回った。
空港経営はこのところ民営化の流れが加速し、航空部門と非航空部門を一体化して経営に乗り出す動きが相次いでいる。成田国際空港をはじめ、関西、中部など、その数は全国で15空港14社に上る。これら一体経営の会社もコロナ禍の影響を大きく受けており、最終損益が判明した13社中11社が赤字に転落した。債務超過やその危機に直面している会社も少なくない。
空港民営化は乗降客数の増加を前提に取り組みが進められてきたが、コロナ禍で事業環境が一変。事業計画の練り直しや新たな資金調達を迫られているほか、これから民営化を検討する空港にも水を差しかねないとして、TSR は影響を引き続き注視する必要があると指摘している。
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