IATA調査、アジアの国際線旅客回復に遅れ 欧米との乖離大きく
2021.08.09 00:00
北半球の夏のバカンスシーズンに期待された航空旅客需要の回復が思うように進んでいない。IATA(国際航空運送協会)がまとめた6月の国際線の有償旅客キロは新型コロナウイルス流行前の19年同月との比較で80.9%減となり、5月の85.4%減からマイナス幅は縮小したものの依然として低水準で推移している。変異株の流行で7月の予約動向も鈍化。特に日本を含むアジア太平洋は改善が見られず、地域格差が顕著となっている。
市場規模上位の3地域を比較すると、北米が5月から4.6ポイント改善し69.6%減、欧州は8.1ポイント改善の77.4%減となった。これに対し、アジア太平洋は94.6%減で0.1ポイントの悪化。南米やアフリカ、中東を含めても全地域中で唯一、改善が見られなかった。ワクチン接種の遅れに伴い、国境閉鎖や出入国制限が続いていることが影響している。
アジア太平洋は国内線の旅客需要も遅れが目立つ。ワクチン接種が進む米国は5月の25.4%減から14.9%減まで回復し、7月の予約動向も19年水準に迫る勢い。これに対し、日本は67.6%減でほぼ横ばい。5月に6.3%のプラス成長を記録した中国は10.8%減へと再びマイナスに転換した。変異株の流行により、一部地域で観光施設が閉鎖されるなど、影響が及んでいる。
IATAによると、20年の全世界の航空旅客は19年比60.2%減となり、18億人の需要が失われた。今年上半期(1〜6月)の有償旅客キロも66.7%減で推移。ウィリー・ウォルシュ事務局長は、「海外旅行の状況は私たちが目指すところにはほど遠い。6月はピークシーズンの始まりになるはずだったが、回復とはいえず、政府の不作為が継続的な危機を招いている」と批判した。
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