旅に認知症リスク低減の可能性 クラツーの共同研究
2021.07.26 00:00

クラブツーリズムが東北大学加齢医学研究所と共同で行った旅の健康作用に関する研究で、旅行が認知症リスクを低下させる可能性があることがわかった。旅行から足が遠のく高齢者の需要獲得を目的に16年から研究を続けていた。旅行と健康寿命の相関関係が立証できれば、旅行業界全体のプラスになると見ている。
60歳前後の顧客835人にアンケートを実施し、旅行の頻度、興味関心、知的好奇心尺度、主観的幸福度尺度などを尋ねた。過去の研究から、自分が幸福であると感じられる主観的幸福度が認知症リスク低減に効果的と証明されていることを前提に、旅行頻度と好奇心、主観的幸福感の関係を分析した。
旅行頻度が高い人の方が拡散的好奇心(物事に対して幅広く情報を求める性格特性)が高く、主観的幸福度も高かった。このことから、物事に幅広く関心を持つ性格の人は旅行に行く機会が増えるほど主観的幸福感が高まり、認知症予防に効果的な可能性が期待できると判断した。「脳の健康維持活動を検討するうえで、旅行という選択も大きな可能性を秘めていることが明らかになった」(同研究所・瀧靖之教授)
ただし、個々の関心事を深く追求したい人は、いわゆる物見遊山の旅行では幸福感は高まらないなど、ケースによっては旅行が逆にストレスになってしまう可能性も指摘。このため、旅行による認知症予防効果の立証には、その人の性格や旅行タイプも考慮したさらなる調査が必要であると見ている。
クラツーは調査結果を受け、顧客が楽しんで旅を続けられるよう1つのテーマを複数回に分けて楽しむシリーズツアーを増やす。また、旅の可能性を広げるような新しい企画の提案やサービスも強化する考えだ。
【あわせて読みたい】高齢者が海外旅行を敬遠するのは体力の問題だけか
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