観光拠点再生計画、あわら市や人吉市に高評価 個人旅行シフトと周遊促進
2021.07.05 00:00
![](https://www.tjnet.co.jp/wp-content/uploads/2021/07/0712_P04-01.jpg)
観光庁が20年度第3次補正予算の目玉事業として約550億円を投じる既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業で、採択第1弾となる自治体・DMO型に102件が選ばれた。そのうち審査で高い評価を得た福井県あわら市や熊本県人吉市の計画には、個人旅行への対応強化やエリア一帯の周遊促進という共通項が見られる。コロナ下で加速した旅行ニーズの変化に呼応しつつ、慢性的な課題の解消を図る。
満点評価を受けたあわら市は、「旅館の外に出たくなる賑わいの創出」をコンセプトに打ち出した。24年春の北陸新幹線延伸で県北部の観光の玄関口となることが期待される一方、観光客は19年まで4年連続で減っている。課題は大型旅館で団体客を受け入れてきた旧来型の集客の見直しだ。倒産等で残った旅館も景観悪化を招いていた。
再生計画では、廃旅館の撤去を進め、10軒以上の旅館で小グループや訪日客など新たな客層に対応する改修を行う。まち歩きを楽しめるよう各旅館や地元施設が連携し、湯めぐりや夕食後に楽しめる体験プログラムを開発する。
人吉市は「観光地としての面的な創造的復興」を目指す。コロナ禍に加え、昨年7月の豪雨被害という二重苦に見舞われた。水害の被害を受けた宿泊施設や老朽化した大型旅館の改修、新たなコンテンツ創出で観光客を呼び戻す。
力を入れるのが「ひかりの演出」による夜の回遊性向上だ。市の宿泊客数は長年、20万人弱と横ばいで滞在時間の拡大が急務。24年までに被災前水準への回復、25年からの増加を目標に人吉城址や球磨川で照明演出などによる誘客コンテンツを生み出す。災害で街から灯りが消え、気分が沈みがちな住民を盛り立てる狙いもあり、参加型イベントも計画している。
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