KNT-CT、債務超過解消へ400億円調達 子会社合併など構造改革急ぐ

2021.05.24 00:00

 KNT-CTホールディングスは5月12日、親会社の近鉄グループホールディングスなどから400億円の資金を調達すると発表した。21年3月期(20年4月~ 21年3月)連結決算は最終損失が284億円となり、赤字が前年の3.8倍に拡大。96億5400万円の債務超過に陥った。会見した米田昭正代表取締役社長は「増資により財務基盤を安定させ、事業構造改革を進める」と述べ、システム投資や業務効率化を図り、23年3月期の黒字化を目指す。

 新型コロナウイルスの影響の長期化を想定し、22年3月期も148億円の最終赤字を見込む。東京オリンピック・パラリンピックによる収益は見込んでいない。2期連続の債務超過を避けるため、6月に第3者割当増資による資金調達を実施する。近鉄グループホールディングスが38%に当たる150億円を出資するほか、三菱 UFJ銀行、三井住友銀行がそれぞれ資金を貸し付ける合同会社2社が計250億円を引き受ける。

 21年度から5カ年の中期経営計画を実行するため、調達した資金は重点施策を支えるシステムへの投資や維持・保守費に充当する。アクティブシニアを対象に趣味を軸にオンラインで人をつなげる新・クラブ1000事業に90億円、団体旅行事業の営業 DX(デジタルトランスフォーメーション)化に20億円、個人旅行事業のダイナミックプライシング型旅行商品に65億円を振り向ける。

 経費削減も推し進める。24年度末までに従業員約7000人のうち約3分の1を削減する計画に加え、22年4月までに近畿日本ツーリスト地域会社8社とKNT-CTウェブトラベルを合併し、近畿日本ツーリストとする予定。後方部門の統合を図りたい考え。働き方改革の推進などで事務所経費も圧縮する。

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