アフターコロナに思う 観光産業のキーパーソンアンケートから③
2021.01.04 00:00
トラベルジャーナルが観光業界のキーパーソンに実施したアフターコロナの世界についてのアンケートから、自由記述欄の回答を紹介する。アンケートの結果は週刊トラベルジャーナル21年1月4・11日号で。
「2019年への回復予測も重要だが、さまざまな視点からイノベーションの機会ととらえるべき」
「観光は社会の平穏なくして成り立たない。平和産業であることをあらためて思い知らされた」
「アフターコロナの航空業界は大きく変化する。チェックインの際の行列を避けるため、自動チェックイン機を積極的に取り入れたり、食事や飲み物などの機内サービスもソーシャルディスタンスを確保しながらの提供となる。このような状況の中でも、お客さまに満足いただけるサービスを提供できるよう努力を続けたい」
「新しいものは何もなく、これまで言われてきたことが10倍速できただけだと感じている。デジタル化、環境への意識の高まり、多様性。しかし急激に突きつけられ、経済も人も追いつかない状態になった。旅の持つ価値は自由に行き来できない1年を経て、さらに高まったのではないか」
「1日も早く普通の生活に戻ってほしいと強く願うようになった。飛行機に乗りたい。海外に行きたい。業界人ではなく一般人として、いろいろな欲望がわいてくる」
「熱しやすく冷めやすい人としての性質は、古代から現代まで大きく変わらないと思う。100年前にスペイン風邪が世界で流行した時も、数年の期間は要したものの、その後は以前よりも人の移動は活発になっている。アフターコロナの世界も、中長期的にはこれまでのグローバル化のトレンドを大きく変えることはないと考えているが、世界各国の政治のリーダーが短期的な視点で内向きの政策を取ってしまうことが最大のリスクではないか」
「不謹慎かもしれないが、どうなるかと少しわくわくしている」
「ウィズコロナの時代にどれだけ強靭なビジネスモデルを作れるかがアフターコロナになっても問われる」
「コロナ長期化の不安要素としては、旅行業界への直接的な影響もさることながら、日本経済全体が沈み、少子化がますます加速し、中長期的に日本が貧しくなってしまうこと。コロナ危機は世界的に過剰に煽られている気がしているが、いずれにせよ早く収まってほしい」
「旅は人間の根源的な欲求を満たすものである。人々は必ず旅行に行く。その時、必要とされるものだけが旅行業界において生き残っていくだろう。われわれツアーオペレーターは常にそういった存在であり続けると確信している」
「長期的にみれば、国内観光は伸びず、国際観光に期待するしかない。中間層、富裕層に対する観光、MICE、IR、留学、移住などを着実に推進することを期待する」
「観光業界だけではないが、脱ハンコなどに無駄や生産性向上が一定に図られる時代に突入していくように感じる。無駄かつ不要な出張、視察などが見直される機会になる可能性が高い。また、リモートワークが定着し、都内に人が住む必要があまりなくなったことで、都心から人がどれくらい離れていくか、一極集中の分散がどの程度進むのか、進まないのかも気になる。住む場所にこだわらず分散化が図られると観光地や地方が盛り上がる可能性が十分に広がってくる」
「50歳未満の層の旅形態の変化が重要な要素になりそう。60歳を超えた人々の旅形態はあまり変わらない」
「何を目的に生き残るかが問われている。個人、コミュニティー、地域、国、地球、そして宇宙の将来を考えてコンセンサスが得られるパラダイムの発見がなされる期待がある」
「旅行会社を通じた流通がなくなることはないと考えているが、大規模な淘汰が起こり、体力を残して生き永らえた会社と新規参入者がメインプレイヤーになっていくのではと考えている」
「安心・安全が担保できるなら、ホテルやエア、食事代金が高くなっても、バジェットの余裕のある旅行者は積極的に海外に行く。現地では、公共交通や観光バスではなく、個人タクシーやリムジンを利用する人も増える。そう考えると、海外旅行はしばらく富裕層に支えられるだろう。早くから富裕層市場に注目しているデスティネーション(カリフォルニア、ドバイ、英国、豪州、ニュージーランドなど)は富裕層のニーズに早い段階から対応しているので、旅行先に選ばれやすい。コンシャスな旅行者はリスクを回避するだろうから、LCCやエコノミークラス、格安宿、大衆系の飲食店などは苦戦する。路地裏や雑踏が観光魅力のアジアの都市観光は避けられるような気がする」
「観光(ツーリズム)で浮かれる時代は終わった。目的と結果、何よりも安心・安全を念頭に置いた人々の動きが尊重されることを願う」
「コロナ禍のなか、修学旅行は不要という議論が一部に出てきているが、これは学びの旅としての修学旅行の価値を理解していない見解である。コンシャストラベルの典型が修学旅行である」
「コロナに対して各国の対策と人々の意識が全く違っている。アジアの中でも日本はかなり独特のやり方で、あまり検査しない、強制的な隔離体制がない、感染者が増えてもGoToキャンペーンも引き続き実施するなどの対応は中国出身の私には納得できない部分がある。旅は基本的に安心・安全の前提で動きだすものだ。誰が感染しているか全くわからず、誰でも平気に動けるのが不思議だ。結果として感染者が増え、大都市から地方へ拡大する現象もあり、政府の対策より自分で管理することしかできない。あとは運命に任せるような無責任ややり方だと思う」
「デジタル化と実体験、その間に新たなビジネスがある」
「自由に出かけ、人に会うという価値・欲求は計り知れないほど価値が高まっている。コロナ収束後はその需要が一気に反動増となる前に、今回のコロナで得た経験と地球環境の保全に向けた動きというのは各自意識として持っておかなければならない」
「いまの世界の変化は100年後の世界史にも記録されるような大きな変革期だと思うので、単にその潮流に従うだけでなく、自分たちでより良い仕組み・環境・生活に変えてゆくのだという一人一人の意識が大切」
「移動サービスという視点において、行政やさまざまな事業者が連携することで、各地域での積極的な新たなモビリティーや自動運転技術の導入が加速していく。特にヒトやモノ、社会、テクノロジーなどさまざまなものが多方面でつながる社会が来ると感じており、われわれは顧客の要望をかなえる移動サービスを提供していくことによって、豊かな社会創造の促進とさまざまな社会課題の解決をより幅広く進めていきたいと考えている」
「暮らしやすさが高まることを期待したい」
「コロナが終息し、さまざまな形態の旅行会社や宿泊施設、交通機関がまた一緒に切磋琢磨しながら旅行業界を盛り上げていくことができる状況が早く来ることを心から願っている」
「一般的な個人旅行も教育旅行もMICEも訪日も、人を介して人と交流し、景色を見て体験したいという思いはより強くなるのではないか。GoToトラベルは旅行初心者の方も多く、旅行の楽しさを知った方も多いだろう。総合旅行会社として、そういったお客さまのご期待に応えるべく進化を続けていきたい」
【あわせて読みたい】アフターコロナに思う① アフターコロナに思う② アフターコロナの世界
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