民泊、事業撤退が増加傾向 コロナ禍で収益見込めず
2020.12.14 00:00
観光庁が住宅宿泊事業、いわゆる民泊の事業者に実施した調査で、収益が見込めないことを理由に撤退する事業者が今年に入って急増していることがわかった。一般住宅に有料で旅行者を宿泊させる民泊は18年6月の新法施行で解禁され、仲介事業者が取り扱う物件は5倍近くに増えた。しかし、事業廃止が全国的に増加しており、観光庁は昨年から調査していた。廃止理由はコロナ禍を背景にこの1年で大きく変化している。
物件数は新法施行当初の延べ2万4938件から増え続け、今年3月末時点で12万9446件となった。しかし、9月末時点では11万8099件と半年間で1万1347件減少している。一方、月ごとの事業廃止件数を見ると、11月10日時点で7807件。昨年から右肩上がりで推移していたが、今年に入りペースが拡大し、3月11日時点の3692件から大幅に増えている。この期間は新型コロナウイルスの感染拡大と符合する。
自治体に事業廃止の届け出があったものの中から理由を確認できた289件を調査したところ、最も多かった理由は「収益が見込めないため」で全体の49.1%を占めた。前年同期の7.2%から大幅な増加で、新型コロナウイルス関連が94.4%と大部分を占める。主たる顧客だった訪日外国人の需要消失が一因とみられる。
理由として次に多い「旅館業または特区民泊に転用するため」は18.0%で前年の57.8%から大幅に低下した。民泊ビジネスそのものからの撤退の増加は明らかで、「(旅館業・特区民泊を除く)他の用途に転用」も6.1ポイント増。「その他」と回答した事業者のうち完全に廃業は11.4%で、事業継続の意思あり(4.2%)を上回った。
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