存続危機の杉原記念館、有志がクラウドファンディングで支援

2020.10.12 00:00

記念館の杉原千畝執務室などの写真をサイト
に掲示。プロジェクトを通じ、認知度向上も狙う

 旅行会社や地上手配会社、添乗員の有志らがリトアニアにある杉原記念館を守る会を立ち上げた。第2次世界大戦中に多くのユダヤ人を救ったことで知られる杉原千畝の功績をたたえる記念館は、リトアニアを訪れる日本人にとって欠かせない観光地の1つ。コロナ禍で閉鎖の危機に直面していることを知り、ウェブで資金調達するクラウドファンディングサイト「Good Morning」で支援活動を始めた。 

 活動の背景には、コロナ終息後に行ける・行くべき観光地がなくなってしまうことへの危機感がある。添乗員として各国を案内した経験のあるプロジェクト代表の三浦慎平さんは、「旧日本領事館だった杉原記念館は歴史の現場で、訪れる人の心が動く場所。バルト三国を訪れるツアーの中で最も印象に残った場所として挙げる人が多い」と話し、観光地としての重要性を訴える。

 記念館は、リトアニアのNGO組織によって運営されており、入場料と寄付金が主な収入源となる。さらに入場者の約85%は日本人観光客が占めているため、渡航制限の継続が予想されるなかでは、記念館存続において寄付が果たす役割は大きい。

  寄付の募集は10月30日までで目標額は800万円。運営費を除いた全額を記念館に寄付する。寄付額は1000円から10万円まで11種類で、額に応じた記念品も用意している。10月8日時点で610人から約513万円が集まっている。

 三浦さんは、「プロジェクトを通じて、千畝さんのことを知らない人がけっこういることに気付いた」と話す。クラウドファンディングが終了した後も杉原千畝の功績を知るうえで重要な役割を果たす記念館について情報発信を継続したい考え。ユーチューブなどのSNSを活用する予定だ。