新法受け全国10地域で文化観光を推進、博物館の機能強化や周遊促す
2020.08.31 00:00

文化庁と観光庁は、全国10カ所で観光を通じた文化資源の理解促進と地域活性化を図る取り組みを集中的に支援する。5月1日に施行された文化観光推進法に基づく施策。域内交通の共通パス発行や文化財登録にかかる特例措置、国立博物館などによる助言、日本政府観光局(JNTO)による海外宣伝などを行う。
文化の保存や継承には、接する機会を拡大して理解を深めてもらう必要がある。施設と自治体、観光事業者が連携し、収蔵品の魅力や来訪者の利便性を高める仕組みづくりを促す。6月30日までに申請のあった計画の中から半数程度が認定された。
そのうち文化施設の機能強化に重点を置いた拠点計画は、群馬県立歴史博物館、徳川美術館(名古屋市)、大原美術館(倉敷市)、東京・天王洲に寺田倉庫が開業を予定するアート複合施設の4件。たとえば、群馬県は観光部署と密に連携し、埴輪や榛名山噴火関連遺跡の価値を世界に発信する。最先端のデジタル技術を駆使した展示やVR(拡張現実)などを取り入れ、来訪者の誘致や満足度の向上につなげる。最終ターゲットの欧米豪市場を見据え、まずは日本人シニアを誘致し、10年後の来訪者数を現在の2倍の年間20万人に引き上げる狙いだ。
拠点施設を軸に一体的に文化観光を推進する地域計画には、山梨県や阿蘇エリアなど6件を認定した。奈良県は「いかす・なら」の名称で、約1300件の国宝・重要文化財を生かした滞在型・周遊型の観光を進める。質の高い夕食や宿泊と連動し、富裕層を対象にした特別解説付きのナイトミュージアムも視野に入れる。推進事業者には、JR西日本、近畿日本鉄道、路線・観光バスを手掛ける奈良交通が名を連ねた。
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