観光庁、回復期に備え観光地整備 予備費36億円投入

2020.03.23 00:00





 新型肺炎の感染拡大で低迷している観光需要の回復期を見据え、観光庁は観光地の整備などの支援に乗り出した。3月10日に閣議決定した今年度予算の予備費35億7200万円を充てる。世界的な感染の拡大とともに先行きの見通しが立たない状況が続いているが、感染拡大防止期間を積極的な
助走期間と位置付け、反転攻勢に転じる基盤を整える。

 まずは日本政府観(JNTO)による正確な情報発信に10億700万円を投じる。訪日旅行の検討者に対し、誤った情報に基づく訪日旅行控えが起きないよう、政府の取り組みをテレビや新聞、SNS、ウェブなど多様な媒体で重点20市場に発信する。一例として、流行地域からの入国規制措置や24時間対応の多言語コールセンターの周知などを挙げた。

 最も多く割くのが、訪日外国人旅行者受け入れ環境整備緊急対策事業で18億8500万円。経済産業省が中小企業向けに行う設備投資などの支援策と組み合わせ、宿泊施設のバリアフリー化やキャッシュレス化を促す。観光スポットと街なかにある飲食店や小売店、外国人観光案内所などを一体的に捉えることで、ICTを活用した案内標識の整備やデザインを統一した多言語看板の整備などの支援メニューを用意する計画だ。

 観光地多角化などのための魅力的な滞在コンテンツ造成には、6億8000万円を投じる。外国人有識者を実施地域に派遣するなどして、市場別の旅行者の構成、消費額、観光資源のポテンシャルを精査する。調査結果を踏まえたうえで新規市場の開拓などの戦略を策定し、新たな観光資源の創出や滞在型旅行商品の企画などの販路開拓につなげる。

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