国内旅行のダイナミックプライス、出足遅く対応二極化 ウェブ移行組も
2020.03.23 00:00

国内募集型企画旅行への変動型運賃(ダイナミックプライス)の適用がいよいよ4月から始まる。旅行会社は発券期限や取消手数料の早期化に対応する個別認可約款の利用や販売システムの改修、パンフレットでの目安額表示といった対応を求められ、新運賃を利用したツアーはまだごく一部にとどまる。21年度まで固定型の旧運賃が併用されることもあるが、システム改修の遅れが主な要因。一方、先行組では、オンラインに完全移行する動きも出てきた。
ツアーへの変動型運賃の適用は全日空(NH)が主導し、日本航空(JL)が追随した格好で、いち早く専用商品を投入したのがANAセールスだ。ダイナミックパッケージ「旅作」のシステムを流用し、開発期間を短縮して造成・販売の環境を整えた。「ANA NOW」の名称で専用パンフレットを北海道から沖縄まで5方面に分けて用意。使い方として、店頭でカタログを入手後、旅行会社で最新価格を確認できることや、客自身のスマートフォンでも最新価格をチェックできる旨も記した。
対照的にウェブ販売に移行したのがエイチ・アイ・エス(HIS)と沖縄ツーリストだ。HISは国内ダイナミックパッケージサイトで、半期ごとに運賃を設定する航空会社に加えてNHの変動型運賃も検索可能にした。沖ツーはダイナミックプライスツアー特集を組み、最大355日先や直前の予約が可能となる特徴を訴求し、販売を強化している。吉岡正彦東京支店長は、「お客さまに早く慣れてもらう必要がある」と狙いを話す。
仕入れ交渉がなくなり一律同運賃となった半面、発地ごとに仕入れを行う縛りも廃止された。「得意方面では新たな競争相手を迎え入れることになるが、新規方面に参入しやすい利点もある」(沖ツー・吉岡支店長)。国内旅行は新競争時代に入ったようだ。
【あわせて読みたい】ダイナミックプライスの衝撃、岐路に立つパッケージツアー
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