公取委がOTA3社に立ち入り検査、最安値料金で契約疑い
2019.04.29 18:04
公正取引委員会は4月10日、独占禁止法の拘束条件付取引に違反した疑いで、楽天トラベル、ブッキング・ドットコム、エクスペディアを運営する各OTA(オンライン旅行会社)に立ち入り検査を行った。
サイトに掲載する宿泊施設に対し、最安値・同等以上の料金で拘束する最恵国(MFN)条項を結んでいた疑い。対象は、宿泊施設と消費者の成約時に宿泊料金のうち一定料率をOTAが手数料として受け取るビジネスモデル。
数年前からMFN条項の契約が結ばれていたと見られ、規模や常態化していたかなどは今後調査する。掲載する部屋数を他社と同等以上にする契約を結んでいた疑いもある。
公取委によると、MFN条項が結ばれれば、多様な料金体系・サービスによる競争環境が損なわれるほか、宿泊施設は利益にならなくても掲載しなければならなくなる。たとえば、OTA1社が手数料分を割り引いたセールを行うと、施設側はMFN条項を結ぶサイトでも宿泊料金を引き下げなければならず、利益が減少する恐れが生じる。
背景には、メタサーチの進出などで価格競争が激化するなか、最安値価格
での表示・提供が集客に重要な条件になっていることがある。一方でOTAやメタサーチへの監視の目は強まっており、国内では、エアビーアンドビージャパンが他社に物件を掲載しないよう求めていたとして、公取委が独禁法違反で一昨年に調査を開始した。
欧州でも是正の動きが高まっており、公取委は「国内でも健全な市場形成をつくっていく必要がある」とする。公取委はOTAなどデジタルプラットフォーマーの取引慣行などの実態を調査しており、独禁法上などでの考えを整理している。
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