西日本にゴールデンルート形成へ 誘客拡大へ自治体が連合 万博機に欧米豪から

2024.05.27 00:00

設立総会には加盟する西日本・九州の自治体の首長らが一堂に会した(写真提供/福岡市)

 訪日外国人を東京/大阪間のいわゆるゴールデンルートにとどまらず、中四国・九州へ呼び込もうと、関係自治体が広域で連携する「西のゴールデンルートアライアンス」が立ち上がった。ターゲットは欧米豪からの富裕層。来年の大阪・関西万博を契機に、各地域の観光素材を磨き上げ、関連性で他の地域も巡りたくなるようなストーリーやツアーづくり、情報発信などに取り組む。

 福岡市の高島宗一郎市長らが昨年9月に構想を発表し、準備段階を経て、150の自治体・DMOと民間事業者が5月17日に福岡市で設立総会を開催した。各地域には魅力ある観光素材が存在するものの、磨き上げが必要で、観光ルート創設や周遊型観光商品の開発、海外向けウェブサイトの構築や海外メディアを活用したプロモーションなど、まだ足りていない部分がある。それらを補完する計画だ。

 万博をはじめ、同じく25年に瀬戸内国際芸術祭、世界陸上(東京)、27年には国際園芸博覧会(横浜)といった大規模イベントが控える。欧米豪からの訪日客を西日本にも誘致する。

 会長に就任した高島福岡市長は総会後のイベントで、「福岡市にもアジア地域から多くのお客さまに訪れていただいているが、一部の国からの誘客に偏ることはカントリーリスクがある」と指摘。また「昨今の課題である観光公害も踏まえ、数から質へステージを上げていく必要もある」などと述べた。

 名誉顧問に就いた田川博己JTB相談役兼山陰インバウンド機構会長は「欧州旅行でかつてのゴールデンルートだった“ロン・パリ・ローマ”から、誘致活動により新たにドイツのロマンチック街道が人気になったような展開を期待したい」と述べた。