地方のガイド確保へ就労環境整備 観光庁が支援検討 コンテンツの単価向上も

2024.05.27 00:00

 観光庁は地方でガイド人材を持続的に確保・育成していくため、必要な体制やビジネスモデルの検討を始めた。地域の伝統や暮らしなどを感じられる体験型コンテンツの造成を推進するなか、特に文化的背景が異なる訪日外国人に深く分かりやすく本質を伝えるローカルガイドは欠かせない存在となっている。だが、地方では慢性的な不足状況にあり、解消に向けた支援のあり方を探る。

 観光庁が全国の登録DMOを対象に実施した調査によると、訪日客向けのローカルガイドに関し、「やや」を含めて不足を「感じる」と回答したのは83%と圧倒的多数を占めた。不足の要因は「報酬が低く生計を立てられない」(55%)、「繁閑の差が激しく通年で働くことができない」(51%)が上位に挙がった。数だけでなく、外国語を話せる人材の不在などスキル面での不足や、スキルアップを個人に依存している体制面での不足も明らかになった。

 5月8日に開いた有識者会議の初会合では、これらの課題を踏まえ、就労しやすい環境の整備、ガイド付きコンテンツの消費単価向上、オペレーション環境の改善・効率化の3点を軸に議論を開始。今後、関係事業者へのヒアリングなども踏まえ、7月下旬をめどに中間とりまとめを公表する。

 髙橋一郎長官は「ローカルガイドの役割は非常に重要。いっそう魅力的な職業になって、旅行者からも地域の関係者からも頼られる存在になるべく、支援措置を検討していきたい」とする。例えば就労環境では、もともと地域でガイド業に就いている人に限らず、移住者、副業、セカンドキャリアなど多様なあり方を前提に人材の確保を検討していく必要があると見ている。