小山次期社長「地域商社のように」 KNT-CT新中計で方針 地域共創・訪日事業を主軸に

2024.05.20 00:00

 KNT-CTホールディングスは事業ポートフォリオを見直し、26年度までの新中期経営計画で地域共創事業と訪日事業を主軸に据えた。コロナ禍前に売上高の大部分を占めていた海外・国内旅行事業は回復が遅れている。コロナ前には戻らない前提で再設計した。6月14日付で代表取締役社長就任が内定した小山佳延代表取締役専務は決算説明会の席上、「地域商社のような存在になりたい」と方向性を示した。

 KNT-CTグループはコロナ禍で人員・店舗の大幅削減など構造改革に取り組んできた。24年3月期は売上高が2554億円で19年3月期に比べ約6割なのに対し、営業利益は3倍近い72億円。新型コロナ関連受託事業の特需が消失したなかでも、利益が出やすい体質になったと自己分析する。

 ただ、受託事業の過大請求で社会的信用を失ったことに加え、既存の旅行事業が伸び悩んでいる。人手不足など新たな課題も浮上しており、計画の見直しが必要と判断した。新中計では、信頼回復に向けた企業風土改革を推進し、近畿日本ツーリスト(KNT)とクラブツーリズムの一体運営を進める。

 一体運営では、客層が異なる2社の顧客データベースや管理システムを1つにし、ライフステージに合わせた提案をする。個人旅行企画は、独自イベントによる地方誘客や需要分散で実績のあるクラツーが担う。得意のテーマ旅行が訪日リピーターに受け入れられると見て、夏をめどに販売サイトを英語・中国語対応とし、需要を摘み取る。

 地域共創・訪日事業が全売上高に占める割合はまだ8%だが、27年度以降早期に20%にする。「川上でITを駆使したプラットフォーマーになるのではなく、川下で地域に入り一緒に汗をかく」(小山氏)としている。