訪日客、3大都市圏への集中加速 市場の変化受け JNTOは地方誘客強化

2024.05.13 00:00

 日本を訪れる外国人がコロナ禍前を上回るペースで増えている。3月は単月で初の300万人を突破し、第1四半期(1~3月)は19年同期比6.3%増の855.8万人となった。この成長率を維持すれば、年間で19年実績(3188万人)を優に超え、25年の政府目標を前倒しで達成できる見通しだ。ただ、3大都市圏への集中が以前にも増して加速しており、オーバーツーリズム抑制の観点からも手放しでは喜べない。国は地方誘客対策を強めている。

 3大都市圏の外国人延べ宿泊者は23年に19年比13.6%増の8243万人泊を数え、全体に占める構成比は72.1%と10ポイント近く上昇した。特に東京都は45.6%も増え群を抜く。地方部も回復しつつあるとはいえ、都市集中傾向は今年に入っても変わらない。

 要因は市場の変化だ。地方での宿泊数が多かった東アジア市場の回復が韓国を除いて遅れている。対照的にロングホールの新市場が伸びており、訪れるなら大都市は外せない流れになっている。日本政府観光局(JNTO)が今後の訪日旅行で訪問したいエリアを調査したところ、欧米豪や中東は地方訪問希望率が5~7割の一方、東アジア・東南アジアは8割以上と乖離がある。

 この市場特性を踏まえ、JNTOは特に地方訪問意欲が高くリピーターの多い台湾、香港、タイを重点ターゲットに据え、地方への復便や新規就航に合わせたキャンペーンを大々的に行う。またアジア10市場の訪日経験2~5回程度のライトリピーターを狙い、OTA(オンライン旅行会社)を通じて予約・購入を促すキャンペーンを展開する。

 消費額の多い富裕層を誘致するモデル観光地の事業者とDMCとのマッチングイベントも強化。消費額増と併せた地方誘客を推進する。