訪日客の地方訪問、重視項目の違いあらわ 文化や食が上位 高級施設にはばらつき

2024.02.05 00:00

 日本政府観光局(JNTO)は世界22市場を対象に、旅行に行きたい国や目的などを調査した。それによると、行きたい旅行先として日本の人気は高いものの、大都市(東京、大阪・京都)以外の地方に限ると、訪問意欲はアジア地域で8割以上となったのに対し、欧米豪・インド・中東地域では大半の国で5~7割にとどまり、相対的に低かった。フランスや北欧では、地方のイメージが想像できないという旅行者も約1割を占めた。

 地方エリア訪問で重視するものは、各市場ともほぼ共通して、その土地ならではの飲食や文化が上位。地方空港への直行便の運航をはじめ、地方エリア内でのアクセスも重要視されている。

 一方で、国によって違いも見られた。その1つがラグジュアリーな宿泊施設へのこだわり。富裕層誘致に欠かせないとして日本各地で整備が模索されているが、同じ欧州でも、英国は訪問意向を高める観光コンテンツの7位と比較的上位なのに対し、フランス・イタリア・スペインは12位と価値観の違いがうかがえる。

 受け入れ体制の面で、多くの人が訪れていないことを最も重視しているのはフランス。欧米諸国では比較的上位に付けているが、アジアではインドネシアと香港を除き下位だった。また、フィリピンやインドなどでは、子供に優しく家族全員が楽しめることを重視していることが分かった。

 調査は昨年1~3月に実施。一部の国・地域を除き、17~23年に飛行機を利用したレジャー目的の国外旅行経験者に聞いた。地方への訪日客の誘致促進は観光立国推進基本計画の柱の1つ。自治体やDMO も力を入れているが、市場の特性を踏まえた誘致戦略を考える必要がありそうだ。