年末年始の海外旅行者、回復7割 JTB推計 行き先・費用は二極化

2023.12.11 00:00

 JTBは今年の年末年始(12月23日~24年1月3日)に1泊以上の旅行に出かける人を海外旅行で58万人と推計した。コロナ禍前の19~20年の7割に相当する。国内旅行が4.3%減の2800万人とほぼ同水準に戻るのに対し、まだ回復途上。ただ、1~10月の日本人出国者数が19年同期の約5割であることと比べると、年末年始の客足は伸びると見ることもできそうだ。JTBの海外企画商品に限れば、予約状況は19年比6割。

 予測は各種経済指標、業界動向、交通・宿泊施設の動向、意識調査などから弾いた。1人当たりの海外旅行費用は海外の物価高や円安などが影響し、19年比9.9%増の22万2000円となる見通し。5万円未満が10.9ポイント増加する一方、20万円以上も7.3ポイント増加するなど、二極化が顕著と分析する。旅行日数も同様で、3泊4日が最も多いものの、次いで8泊以上が多く19年に迫る。近隣国だけでなく長距離方面も人気が高い。

 アンケート調査からは、ボーナスの増加など収入面の良化に伴い、年末年始の大きな支出に前向きな兆しが見られた。「先行きがわからないので大きな支出は控えておきたい」が18.1%を占めたものの前年より減少し、「今のうちに大きな支出を考えたい」が4.8%と0.3ポイント増えた。

 今後1年間の旅行に対する意識では、旅行先選びに情勢や治安、衛生面での不安の少なさが影響する。混雑する場所を避ける傾向も顕著となった。自由なスタイルのニーズは高く、「サポートなどがなくてもいいので自分自身で好きに動きたい」が32.1%に上った。

 ただ、費用への意識も高い。円安や物価上昇を理由にしばらく旅行したくないとする向きは21.8%を占めた。