JR西日本、芸備線再構築の協議会要請 法施行後で初 存廃を地元と議論

2023.10.16 00:00

 JR西日本は10月3日、ローカル鉄道の存廃を巡り、地域公共交通活性化再生法(改正地域交通法)に基づく再構築協議会の設置を国土交通省に要請した。1日の同法施行を受けた初めてのケースとなる。要請したのは芸備線の備中神代駅(岡山県新見市)と備後庄原駅(広島県庄原市)を結ぶ68.5km の区間。山間部を走る路線で需要は減少の一途をたどり、赤字が続いている。

 19年度のこの区間の平均通過人数(輸送密度)は1日平均48人。中でも東城/備後落合間は22年度実績で1日平均20人と、JR西日本管内で最も厳しい区間。将来への持続可能な交通体系の実現に向けて、地域との議論が必要だと訴えている。

 要請を受けて国交省は関係自治体から意見を聞き、必要と判断すれば再構築協議会を組織する。国が調整役となり、協議開始から3年以内を目安に、関係自治体と鉄道事業者が合意のうえで再構築方針を作成。鉄道輸送の維持・高度化を図るのか、バス輸送等への転換を図るのかを決めて実行に移す。実現に向けた費用の半分は国が負担する。

 対象区間の利用促進等については、これまでJR西日本と地元との検討会議が重ねられてきた。だが、存廃に関する具体的な議論を進めることはできなかった。

 協議会の設置要請を受け、広島県の湯﨑英彦知事はコメントを発表。持続可能な地域の公共交通を考える際には、費用負担や人材確保の点で自治体や地元交通事業者にとって非常に重い負担となることを考慮する必要があると指摘。仮にバス等での輸送に転換した場合、持続的な運行と利便性が確保されるよう、JR各社の協力が確実に行われることを求めていく。

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