KNT-CT、人の改革に重点 過大請求の再発防止策 倫理観養う
2023.10.02 00:00
KNT-CTホールディングスは、近畿日本ツーリストによる新型コロナウイルス関連受託事業の過大請求問題に関する再発防止策をまとめ、人の改革を最重要項目に位置付けた。全グループの経営陣と社員が法令順守に対する意識改革に取り組む。行動規範を制定し、24年1月に新設する「KNT-CTアカデミー(仮称)」で倫理観を養う教育を始める。
「人間力を高めることが本丸」。9月20日の会見で小山佳延代表取締役専務はこう強調した。社員と同様、経営陣自らがビジネスコンプライアンス検定などの認定を取得し、問題に直接関わった一般団体営業部門の管理職任用要件にも資格を追加する。人は最大の財産だとして、業績や成果を最も重視していた人事評価の基準を見直し、コンプライアンスや組織への貢献などプロセスを評価に加える。
約4600人の全グループ経営陣・社員に行った意識調査では、自由記述の問いに2万1000件のコメントが寄せられた。そこで顕著となったのが、職場間の壁の高さや経営陣との距離感。10月から直に役員と社員が対話する場を設け、課題や改善に関する声を聞き、今後に反映する。調査委員会の報告書で指摘された上意下達のコミュニケーションもあり方を改革し、目的の共有や情報伝達の仕組みを整備する。
過大請求は最大で37自治体・約7億円と見込まれ、多くの自治体からBPO事業の指名停止を受けている。しかし、米田昭正代表取締役社長は「10年後、20年後を見据えて取り組まざるを得ない事業」だとして、停止期間終了後に再び企画・提案を行う方針を示した。受託基準や業務フローを定め、ITシステムを活用した管理の徹底で不正を防いでいく。
【あわせて読みたい】旅行業界とコンプライアンス なぜ不正は後を絶たないのか KNT、不正生む企業風土明らかに 調査委報告書 過大請求問題で厳しく指摘
カテゴリ#観光・旅行業経営#新着記事
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