水際終了の5月、出国者の回復47% 4月から大幅改善も特殊要因 訪日客は69%
2023.07.03 00:00
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に引き下げられ、水際措置が終了した5月は、海外との往来の増加が期待された。日本政府観光局(JNTO)の速報値によると、日本人出国者数は67万5700人と4月より11万人以上増え、コロナ前の19年同月比で47.0%まで回復した。訪日外国人は189万8900人で、19年同月比で68.5%まで戻った。
出国者の回復率は4月から10ポイント以上改善し、大きく前進したように見える。しかし、JTB総合研究所の黒須宏志フェローは、「例年5月は出国者数が4月と同じかやや上回る。今年4月の回復率は(令和への改元で)10連休となった19年のゴールデンウィークの影響で下振れしていたため、5月が4月からジャンプアップしたというのは見せかけの現象」と指摘する。
一方、訪日外国人は桜シーズン後の閑散期に当たるため、4月より5万人ほど少なかったが、回復率は2ポイントほど上回った。1~5月累計では約863万人。このペースで進めば、年間で2000万人に達する勢いだ。
市場規模で上位4カ国・地域のうち、韓国と香港がコロナ前の8割台と順調に推移。また、シンガポール、ベトナム、米国、カナダなど7カ国および中東地域が19年同月を超え、5月の押し上げ要因となった。ただし最大の市場である中国は、中国政府が日本への団体旅行を解禁していないため、19年の2割に満たない13万人にとどまった。
日本の国際線供給量は回復途上にあり、定期便の運航便数はコロナ禍前の約6割まで回復している。5月の成田空港の発着回数は67%、関西空港は55%だった。ただし、航空券代の高騰や空港等における人手不足の問題がスムーズな回復を阻んでいる。
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