JR東日本、ローカル線全区間の赤字続く 総額679億円 前年からは改善
2022.12.05 00:00
JR東日本は利用者数の少ないローカル線について21年度の収支状況を発表し、35路線66区間すべてが19年度と20年度に続いて赤字となった。平均通過人員が1日当たり2000人未満の線区が対象で、赤字総額は679億円。前年度より30億円ほど改善したものの、厳しい経営状況が続いている。
赤字路線は東北・上信越地方を中心にJR東日本管内のほぼ全域にわたるが、線区別で赤字額が大きかったのは羽越本線の村上/鶴岡間の約50億円、奥羽本線の東能代/大館間の約31億円、羽越本線の酒田/羽後本荘間の約28億円など。小海線の小淵沢/小海間、五能線の深浦/五所川原間、中央本線の辰野/塩尻間は赤字が2億円以上増え、悪化が目立った。
営業費用に対する運輸収入の割合(収支率)が最も低かったのは、陸羽東線の鳴子温泉/最上間と久留里線の久留里/上総亀山間の0.5%。100円の運賃収入を得るのに、それぞれ2万31円、1万9110円の営業費用がかかったことになる。また、1日当たりの平均通過人員はわずか44人と55人だった。
ローカル線をはじめとする鉄道の利用は昨今の環境の変化とともに大きく減少し、各路線の経営状況は厳しさを増している。その状況下でJR東日本は、今後の鉄道のあり方やローカル線を取り巻く問題は重要な経営課題と認識。利用者数の少ない線区の経営状況を今年初めて開示した。地域住民などに現状への理解を求め、持続可能な交通体系についての建設的な議論に役立てたい考えだ。
国土交通省が設置した有識者検討会は先ごろ提言をまとめ、危機的な状況にある線区については、バス輸送等への転換も含めて、今後について検討を進めるよう求めている。
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