ふるさと納税、旅や宿泊に高需要 一休が仲介事業参入 飛鳥クルーズも返礼品に

2022.10.10 00:00

一休のふるさと納税サイト。14自治体、70の宿が出品しており、23年は倍増を目指す

 物が返礼品の中心だったふるさと納税で、旅行や宿泊など体験商品を強化する動きが広がっている。高級ホテル・旅館予約サイト運営の一休が宿特化型ふるさと納税サイトを開設し、仲介事業に参入。豪華客船「飛鳥Ⅱ」を運航する郵船クルーズは返礼品としてクルーズの提供を開始した。

 一休は同社が扱う宿泊施設の中から厳選し、1回の寄付額20万~60万円程度の商品を取りそろえた。割引額6万~18万円程度のクーポンを返礼品としてサイト上で即時発行し、利用者がすぐに一休の宿泊予約サイトで使えるようにした。

 主に想定するのは年収2000万円程度の高額納税者だ。返礼品を大量に選択する手間が生じるなど、悩みが寄せられていた。宿側にとっては、紙の宿泊券で出品する場合にかかる発送などの負荷を減らせる。ふるさと納税サイトは乱立しているが、一休は「高級領域は伸びしろがある」(浅田真吾事業部長)として、総合店と一線を画す。

 郵船クルーズは横浜と神戸をそれぞれ発着する2泊3日の洋上クルーズを「ふるさとチョイス」に出品した。寄付額は140万円など。同社は出品理由について、地域活性化への貢献に加え、新たな顧客層開拓を挙げる。25年の新造船デビューを控え、存在を周知したい考え。日本工芸会との関係を生かし、人間国宝による希少な伝統工芸作品も返礼品として予定する。「工芸品に興味のある人が乗ってみようと思うきっかけになれば」(同社)

 ふるさとチョイスを運営するトラストバンクによると、この3~4年で体験商品とその寄付額が増えている。新型コロナの行動制限がなくなり、今年から来年にかけて、その傾向がいっそう高まるとみている。

【あわせて読みたい】旅行会社と自治体の連携協定増加 新領域に活路、農業やふるさと納税支援も 遊園地内にふるさと納税自販機 相模原市、当日から使えるチケットを返礼品に 東武トップツアーズ、企業版ふるさと納税の新会社 法人営業強みに地域とマッチング

キーワード#ホテル・旅館#新着記事