米国立公園の予約システムめぐり物議 間際のみ受け付け 観光客抑制や環境保護で

2022.08.22 00:00

 米国の国立公園で持続可能性を促進するための善意の施策が裏目に出ている。人気のある国立公園のいくつかで今年初頭、新たな予約システムが導入された。観光客の増加を抑え、自然資源を保護するのが目的だ。しかし、多くの場合、公園を訪れる数日以内または数時間以内にしか予約を入れることができず、数カ月前から予約するツアーオペレーター、特に6カ月から1年先を押さえる海外旅行者の予約ができない事態を引き起こしている。

 さらに、ほとんどの予約は専用サイト「Recreation.gov」を通じて行わなければならない。全米ツアー協会(NTA)のキャサリン・プレイザー会長はこのサイトが団体やツアーオペレーター向けに設計されていないと指摘。「ツアーオペレーターの76%は公園をパッケージ化している。国立公園は重要な要素」と窮状を訴える。

 解決策を求め、USトラベルアソシエーションが中心となり、旅行業関係者388人が署名した書簡を内務長官と国立公園局長官に送付。10~12カ月前から予約できるよう要望した。業界はすべての国立公園で一貫性のある予約システムの導入を望んでいる。

 国立公園の予約制や時間指定入場制は全く新しいものではない。しかし、旅行事業者のビジネスに直接影響し、業界の回復に影響を与えかねない。一方、州立公園が有効な解決策になるとみるのは、アドベンチャー旅行のイントレピッドトラベル。「象徴的な景色や素晴らしいアドベンチャーがあり、他に類を見ない野生動物が生息している。さらに、国立公園のような混雑を避けることができる可能性が高い」としている。


この記事は米フォーカスライト運営のニュースサイト「フォーカスワイヤー」を基にフォーカスライトの牛場春夫日本代表が執筆したものです。参考記事(英文)はこちら。
「TOUR OPERATORS FRUSTRATED WITH NEW NATIONAL PARKS RESERVATION SYSTEM」