ロシア軍事侵攻、観光にも影 有望市場の損失に懸念 旅行先から除外も
2022.03.07 00:00
ロシアによるウクライナへの侵攻は世界の観光産業にも暗い影を落とし始めている。航空分野では、欧州連合(EU)がロシア航空機によるEU領空への飛行を禁止する方針を示し、カナダや米国も追随した。ロシア側も自国の領空への飛行を制限しつつある。日本航空は情勢に鑑み羽田/モスクワ線を減便し、全日空はロシア空域を運航する欧州便を欠航した。ロシアと世界とのアクセスが途絶えつつあるなか、ロシアを有望な旅行市場と位置付ける国は観光収入への打撃を憂慮している。
ロシアは世界6位の国際観光支出国だ。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、最大の旅行先となっているトルコでは、ロシアとウクライナからの観光客数は21年に全体の23%を占めた。ロシア侵攻による観光損失は100億ドル相当との試算もすでに出ているという。タイでは、購買力の高いロシア人観光客の減少が予想されることで観光産業への影響は避けられないとの見通しを示している。
日本は観光目的での海外との往来が本格再開に至っていないが、ロシア侵攻が今後の懸念材料となるのは確かだ。ロシアからの訪日客数は19年に約12万人で、英国やフランスなどに比べると市場規模は小さいものの前年比26.6%増と伸びしろを示していた
日本とロシアは近年、両国間の交流促進が強化されてきた。相互交流年の開催などを契機にプロモーションが活発化。航空路線の拡大・増便などアクセス面の基盤整備も加速していた。
海外旅行は3月から帰国時の自己隔離が一定条件の下で免除され、本格再開への期待が膨らむ。ただ、各方面でのロシア排除や製品の不買運動が広がるなか、旅行先として回避の動きが生じる可能性がある。
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