日本遺産、4件の認定継続に赤信号 今後の地域活性化計画に課題 再審査へ
2021.08.02 00:00
文化庁は日本遺産事業の初年度(15年度)に認定した18件のうち14件は認定を継続し、4件については認定取り消しの可能性もある「再審査」とする評価結果を公表した。4件の関係自治体には、不備が指摘された今後の地域活性化計画の見直しを求めた。再審査の結果によっては、認定の取り消しや、認定を取り消したうえでの候補地域への格下げもありうる。
再審査となったのは、信長公のおもてなしが息づく戦国城下町・岐阜(岐阜市)、六根清浄と六感治癒の地(鳥取県三朝町)など。今後の計画に対する審査結果が最も低いCランク(認定基準を満たしていない)の評価となった。課題として指摘されたのは、将来像とその実現に向けた事業との関係性の不明確さや、これまでの課題を踏まえた具体的な計画の不明瞭さだ。事業の組織体制において民間との連携も不十分とみなされた。
日本遺産は地域の活性化へ文化財や伝統をストーリーでつなぎ面で発信する事業で、20年度までに104件が認定されている。目標数に達したことから、文化庁は認定から6年が経った日本遺産について、成果や今後の計画などを総合的に評価するスキームを今年度から導入。認定の取り消し制度も設け、今回初めて評価・審査を実施した。具体的には、観光客入込数などの目標達成度と施策の取り組み内容等を評価し、併せて今後3年間の地域活性化計画を審査して認定の継続等を判断する。
9月中旬ごろまでに4件には計画の再提出を求め、今秋以降に再審査の結果を公表する。一方で今回、将来の日本遺産を目指す3件の候補地域も認定した。今後も100件程度を維持しながら、ブランド維持・強化を図るため、認定対象の見直しを順次行う。
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