日通旅行、65年の歴史に幕 NTSやペリカンネットも営業終了 社員は転籍
2021.02.01 00:00
ルックワールドのブランド名で海外パッケージツアーの先駆けとして知られる日通旅行が3月末で営業を終了する。日本通運として旅行業を始めた1955年から約65年の歴史に幕を下ろす。日本通運は23年までのグループ経営計画でコアの物流事業に経営資源を集中する成長戦略を描いており、旅行子会社を解散することとした。海外航空券の販売を手掛けるエヌ・ティー・エス(NTS)も対象で、いずれも6月中に清算を終える見通しだ。
日通旅行には現在、日本通運からの出向者194人とプロパー社員70人が在籍する。NTS はプロパーのみの45人。いずれも日通本体に転籍し、物流分野に配置される予定。
日本通運によると、19年春ごろから旅行子会社のあり方について本格的な検討に入った。その後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う移動制限の影響で経営状況が悪化。事業譲渡も選択肢の1つにあったが、人的資源をコア事業に振り向けるほうを選んだ。
米国日通旅行とオランダ法人の旅行部門は昨年内に清算した。また、シンガポール法人の旅行支店が運営していた日通ペリカントラベルネット(PTN)もすでに終了している。PTN はルックワールドのホールセール撤退を見据え、支店の赤字脱却を狙って2004年末に立ち上げた事業。1地域1店舗の加盟店形式でホテルなどの素材を消費者にオンラインで販売する仕組みとして注目を集めた。ピーク時は75カ国・地域約110店に拡大していた模様だ。
コロナ渦中での旅行業者の休廃業は増えている。東京商工リサーチによると、昨年1年間の倒産は26件と過去20年間で最少水準だが、20年1~10月の休廃業・解散は前年同期の1.4倍に増加している。
【あわせて読みたい】旅行大手の構造改革 コロナ禍で経費・事業に大なた 旅行業者の自主廃業増加
カテゴリ#観光・旅行業経営#新着記事
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