フィンランド政府、サステナブルな旅行へ事業者認証 責任ある業界呼びかけ
2020.02.24 00:00

35年までのカーボン・ニュートラルを目指すフィンランド政府は、持続可能な旅行に積極的に取り組むサプライヤーや地域の事業者を認証する制度を立ち上げた。旅行会社や消費者が利用する企業を選別する際の目安とする。気候変動による環境問題が深刻化するなか、自然資源の恩恵を受ける観光産業の責任は大きく、消費者の意識向上にも重要な役割を担う。制度を通じてこの認識を高め、国レベルで積極的な観光計画と管理を行う狙い。
「サステナブル・トラベル・フィンランド」と名付けた制度は19年夏に導入し、現在は試験運用の段階にある。ホテルやバス会社、DMOなどの参加を想定しており、認証取得に7つのステップを設けた。持続可能な観光原則への署名、担当者の任命、eラーニングや座学での学習プログラムの受講、持続可能な観光開発計画の策定などが求められ、1年以上にわたって実践されているか検証も行う。取得企業はフィンランド政府観光局が全世界で行うプロモーションでアピールされるなどの利点を享受できる。
特徴的なのは、個々の企業だけでなく、地域ぐるみでの取り組みを促す仕組みとしたことだ。域内の観光事業者の51%が認証を取得すれば、地域にお墨付きを与える。有数のスキーリゾートとして知られるラップランド地方のルカ、レイクランド地方のユヴァスキュラなど、12の地域をモデル地域に指定し、国レベルでの普及を目指す。
昨今の消費者意識調査からは、環境に配慮した企業を選ぶ傾向の高まりが明らか。フィンランド大使館商務部の沼田晃一上席商務官は「制度を通じて、旅行先の地域やサプライヤーが持続可能な観光に取り組むことの重要性を提案していきたい」としている。
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