トーマスクックの資源に熱視線 有力旅行会社が店舗や従業員獲得
2019.10.28 00:00
![](https://www.tjnet.co.jp/wp-content/uploads/2019/10/4dc7f495c33a716e7393a8c0a619359c.jpg)
9月に破綻したトーマスクックの経営資源をめぐり、同業の有力旅行会社が獲得に乗り出している。ヘイズトラベルはトーマスクックが運営していた全555店舗を600万ポンド(約8.4億円)で獲得し、TUIは特定分野に長けた元従業員を雇用する方針を表明した。職を失った従業員の救済という意図があるほか、自社の次なる成長の原資とする狙いがある。
ヘイズトラベルは10月21日までに約半数に当たる236店舗の営業をすでに開始した。同社は英国内で約180店舗を運営しており、旧トーマスクック店舗が加われば拠点は急拡大する。人材の面でも、元従業員約2万人のうち最大2500人を雇用する。
ヘイズは1980年創業の英国最大の独立系旅行会社。18年の取扱高は10億ポンド(約1400億円)で、過去10年間で3倍以上に伸びている成長企業だ。従業員1700人を擁し、240以上の在宅エージェントも組織する。ジョン・ヘイズ社長はトーマスクックの経営資源の獲得が「ゲームチェンジャーになる」とし、「店舗数をほぼ3倍にし、従業員を2倍にする」と語った。
TUIは10月17日までの3週間、スペインやポルトガルなど6カ国で元従業員を対象にオープンデーを計25日開催した。企業活動や雇用方針を広く知ってもらうためで、600人が参加した。
主催したのはツアーやアクティビティー、エクスカーション事業を束ねるTUIデスティネーション・エクスペリエンスの人事部門で、経験豊富な専門人材に目を着けた。アナリサ・リッチズ部門長は、「今後数年間で大幅な成長を遂げたいと考えており、専門家を必要としている」と言及。旅行代理業、保育、デジタルテクノロジー、管理職を対象に挙げた。
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